弁護士 合田雄治郎

合田 雄治郎

私は、アスリート(スポーツ選手)を全面的にサポートするための法律事務所として、合田綜合法律事務所を設立いたしました。
アスリート特有の問題(スポーツ事故、スポンサー契約、対所属団体交渉、代表選考問題、ドーピング問題、体罰問題など)のみならず、日常生活に関わるトータルな問題(一般民事、刑事事件など)においてリーガルサービスを提供いたします。

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スポーツ仲裁って?

 あるスポーツ団体(以下、単に「団体」といいます)が所属する選手に対し何らかの決定をし、選手はその決定に対し不服や不満がある場合どうすればよいのでしょうか?

  例えば、選手が不祥事を起こしたとされ、そのことで団体が選手の処分を決定したとします。ところが、選手には全く身に覚えがないとか、身に覚えはあるもののその処分が重過ぎるとかいった不服がある場合が考えられます。

  また、団体が、その競技において重要な試合(例えば、オリンピック、世界選手権、ワールドカップなど)の代表を選考したが、その選考に対し不服があるといったこともあるでしょう。

  こういった場合、先ずは、決定をした団体に不服である旨を申し立てるべきでしょう。団体は、この不服申立てに対して、何らかの対応をすると思われますが、通常であれば、不服内容等を検討・審査し、決定の取消、変更あるいは維持という判断をすることになると思います。

 

2 JSAAって?

  それでは、そのような不服申立てに対する団体の判断に納得がいかない選手は、どのようにすべきでしょうか。

  このような場合に、日本スポーツ仲裁機構(JSAA)に仲裁申立てをすることが考えられます。

  JSAAは、スポーツをめぐる様々な争い・トラブルを公平、適正かつ迅速に解決するための公益財団法人です。JSAAに申し立てることで、公正、中立かつ独立した仲裁人で構成されるスポーツ仲裁パネルが、申立てについて、公正かつ迅速に判断します(これを「スポーツ仲裁規則に基づく仲裁」といいます。JSAAには他の仲裁・調停の手続きがありますが、ここでは使い勝手のよい「スポーツ仲裁規則に基づく仲裁」について書きます)。

 

3 JSAAに申し立てる際の注意点は?

  仲裁をするためには、両当事者が仲裁をすることに同意しなければなりません。したがって、選手が仲裁を申し立てる場合に、団体の規則等で選手が仲裁を申し立てれば応じる旨の定め(自動受諾条項)があればよいのですが、そのような定めがない場合は仲裁申立の際に団体が仲裁に応諾しないと申立てが却下されてしまいますのでご注意ください。

  また、JSAAの判断は最終のものであり、JSAAの判断に対する不服を申し立てることはできません。すなわち、JSAAに判断を委ねた以上は、判断が出ればそれに従うしか道はありません。

  申立料金は5万円となっています。これを高いと考えるか、安いと考えるかは申立人次第ですが、専門家として言わせていただくと、仲裁の公正さや迅速さからすると、決して高くはない額だと思います。

  代理人をつけるかどうかも費用との兼ね合いで悩ましいと思われますが、選手生命を左右するような重要な事項に関しては、団体と対等にわたり合うためにも代理人をつけるべきでしょう。代理人としては、やはりスポーツ法務に詳しい弁護士が適切だと思います。

 

4 最後に

  私は、仲裁人等の候補者としてJSAAに登録されており、近時、実際に仲裁人を務めさせていただきました。

  その中で感じたことは、スポーツ仲裁パネルは有能かつ公正な仲裁人で構成されますので(私が有能であるかは別として)、一刻も早く公平、適正な判断を求めたいという場合には特に有用な制度であるということです。 

 

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