弁護士 合田雄治郎

合田 雄治郎

私は、アスリート(スポーツ選手)を全面的にサポートするための法律事務所として、合田綜合法律事務所を設立いたしました。
アスリート特有の問題(スポーツ事故、スポンサー契約、対所属団体交渉、代表選考問題、ドーピング問題、体罰問題など)のみならず、日常生活に関わるトータルな問題(一般民事、刑事事件など)においてリーガルサービスを提供いたします。

事務所案内

内観

合田綜合法律事務所
〒104-0028
東京都中央区八重洲2-11-2
城辺橋ビル4階

TEL : 03-3527-9415
FAX : 03-3527-9416

10:30~18:30(月曜~金曜、祝日は除く)

代表選考について(4)

1 これまでは、代表選考基準について、選手の側から考えてきましたが、今度はNF(国内競技連盟等)の側から考えてみましょう。

2 NFが考える、勝てる代表として選手Xを選びたいとします。

仮に選考試合が終わり、基準によればXが漏れてしまうからといって、NFが裁量を持ち出して強引にXを選ぶことができないのは、これまでの考察からお分かりのことと思います。

結果からみてXが漏れた基準とは異なる基準であればXが選考される余地がある場合でも、事後にではなく事前に、Xが選出されることも含めて戦略的に決めた基準を作成・決定するしかありません。

その基準は、Xの選出のみを目的としているのであれば著しく合理性を欠く可能性があります。
よって、基準においてX選出がNFの主観的目的の一つであるとしても、その基準は客観的・全体的にみて合理的なものでなければなりません。


3 NFの裁量内の判断についても触れておきます。

代表選考におけるNFの判断が裁量の範囲内の判断であったとしても、その判断にはある程度の合理的な理由が必要であるというべきでしょう。

例えば、当落線上の複数の選手から1名を選ぶという判断が裁量の範囲内であったとしても、恣意的に(好き嫌いで)選ぶことは著しく合理性を欠くといえ、過去の実績を勘案して選ぶことは合理性があるといえます。

4 これまでに小欄で4回にわたって代表選考について考えてきましたが、個人競技スポーツを中心としたものでした。

スポーツには様々なタイプがありますが、個人競技スポーツは選考基準の考慮要素を客観化し易く、これに対して、審査員の採点による団体競技スポーツは選考基準の考慮要素の客観化が難しいと言えます。

しかし、どんなタイプのスポーツにおいても、基準については「基準の客観化」と「基準の開示」という観点をもって作成・適用されるべきですし、裁量については「裁量権の広さ」とこれに伴う「責任の重さ」という観点をもって行使されるべきです。

そして最終的には、選手もNFも出来得る限り納得のいく代表選考をして欲しいと思います。  【おわり】

 

 

 

記事一覧